宇都宮線を紹介

宇都宮線東日本旅客鉄道JR東日本東北本線のうち、東京都台東区上野駅から栃木県那須塩原市黒磯駅間の列車線の愛称である。宇都宮線は、首都東京と北関東(埼玉県北東部、茨城県古河周辺、栃木県小山・宇都宮・那須周辺)を縦貫する、首都圏地域間輸送を担う路線の一つである。大宮駅から新宿駅経由で横須賀線に直通する湘南新宿ラインの列車が宇都宮駅以南で運行されており、池袋・新宿・渋谷・横浜・鎌倉の周辺各地とも直結している。北海道地方への定期旅客列車(夜行寝台特急)も毎日1-2往復運行されている。宇都宮線区間に所在する宇都宮貨物ターミナル駅日本貨物鉄道JR貨物)による1,200トン級コンテナ貨物列車が運行される北限であり、当駅と名古屋貨物ターミナル駅福岡貨物ターミナル駅広島貨物ターミナル駅間を結ぶ毎日2.5往復が1,200トンコンテナ貨物列車で運行されているほか、当駅と南関東沿岸部の各駅間には石油貨物列車が多数設定されている。また、宇都宮線区間には首都圏と東北・北海道間を結ぶコンテナ貨物列車が多数往来しており、中には西日本から東北・北海道に直通する長距離コンテナ貨物列車もある。

茨城県古河市以北のほぼ全区間にわたり国道4号が並行している。古河市以南区間については、東京都台東区から埼玉県川口市にかけては東京都道・埼玉県道58号台東鳩ヶ谷線・東京都道306号王子千住南砂町線・国道122号、埼玉県川口市からさいたま市にかけては埼玉県道89号川口停車場線・埼玉県道35号川口上尾線、さいたま市から古河市にかけては埼玉県道3号さいたま栗橋線・国道125号が並行している。「宇都宮線」と呼ばれる区間は、東北本線列車線の直流電化区間と一致する。全区間が旅客営業規則の定める「東京近郊区間」内、およびIC乗車カード「Suica」の首都圏エリアに含まれている。このうち上野駅-大宮駅間は電車特定区間となっており、区間外よりも割安な運賃設定となっている。ラインカラーは首都圏地区の東海道線高崎線と同様、車体色の一部に用いられているオレンジ(■)で案内されている。

路線データ
宇都宮線としてのもの。
管轄・路線距離(営業キロ
東日本旅客鉄道第一種鉄道事業者):
上野駅-尾久駅-黒磯駅159.9km
日本貨物鉄道第二種鉄道事業):
赤羽駅-黒磯駅赤羽駅以南は田端駅方面のみに免許を持つ)
軌間:1067mm
駅数:33駅(起終点駅含む。貨物駅は除く)
複線区間:全線(上野駅-尾久駅間の一部は複々線
電化区間:全線(直流1,500V)
閉塞方式:(複線)自動閉塞式
保安装置:ATS-P
最高速度:
上野駅-宇都宮駅 優等列車120km/h、普通列車110km/h
田端信号場駅-赤羽駅東北貨物線) 95km/h
赤羽駅-大宮駅(東北貨物線) 120km/h
運転指令所:東京総合指令室(ATOS
担当乗務区:上野運転区、上野車掌区、田端運転所、宇都宮運転所、小金井運転区、宇都宮車掌区(湘南新宿ラインは新宿運輸区も担当)
上野駅-赤羽駅間が東日本旅客鉄道東京支社、浦和駅-黒磯駅間が東日本旅客鉄道大宮支社の管轄であり、赤羽駅-浦和駅間に支社境界がある。

東京圏と栃木県間の鉄道旅客需要[編集]各都県間鉄道旅客流動状況(2000年)出発地\目的地栃木県群馬県茨城県合計-
埼玉県6424711871,300-
東京都3,0751,8691,9036,847-
神奈川県7652434681,476-
千葉県336292218846-
合計4,8182,8752,776--
出発地\目的地埼玉県東京都神奈川県千葉県合計
栃木県1,2522,9639395955,749
群馬県9352,0274154853,862
茨城県1721,6954772552,599
合計2,3596,6851,8311,335-

(単位:千人/年)
運輸省(現国土交通省)が2000年に実施した都道府県間鉄道流動統計データによると、東京都から鉄道で栃木県に移動した年間旅客数は静岡県大阪府、愛知県への旅客数に次いで多く307.5万人であった。これに神奈川県、埼玉県、千葉県からの年間旅客数を合わせた数字は481.8万人であり、茨城県の277.6万人や群馬県の287.5万人を遥かに上回る鉄道需要があることを示しており、宇都宮線は東京圏内の一通勤路線という範囲を超え、東北新幹線とともに当に東京圏と栃木県間の鉄道旅客需要に応える大動脈であることが窺える。

名称について
宇都宮線の名称は、当線沿線自治体の一つである栃木県の県庁所在地・宇都宮市に由来する。

経緯
1988年(昭和63年)、本来の東北本線の長距離旅客輸送機能が東北新幹線に移され、上野駅-黒磯駅区間が東京-埼玉県北東部-栃木県間の輸送に特化されつつある状況を鑑み、当時の渡辺文雄栃木県知事が同県の県庁所在地である宇都宮市のアピールも絡めて、上野駅-黒磯駅間の名称を「宇都宮線」とすることをJRに提案、沿線自治体である東京都・埼玉県・茨城県の各知事の了承のもと実現され、1990年(平成2年)3月10日から公式の愛称となった。